KATHARINE HAMNETTといえば、メッセージ性の強いスローガンTシャツや英国トラッドをベースにしたスタイルを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、ロンドン在住で、長年キャサリン・ハムネットと共にブランドを築き上げてきたMD統括責任者のライオネル氏へのインタビューを紹介させていただきます。
キャサリン・ハムネット本人の人物像や、ブランドが先駆けて取り組んできた社会貢献活動のルーツまで、掘り下げて色々と聞いてみました。
ファッション業界の裏側を知る貴重なお話、そして現代の私たちにも響くメッセージが満載です。ぜひ最後までお読みください。
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キャサリン・ハムネットとはどんな人物なのか?
ライオネル氏: 私は本当に幸運なことに、キャサリンと楽しく仕事をすることができました。彼女とは、インテリア、アート、ファッションといった美学的な部分で共鳴する部分が非常に多かったんです。
彼女は裕福な家庭に育ち、父親は外交官として世界中を飛び回っていました。その影響もあってか、様々な文化に対して非常にオープンで、共に仕事をするのはいつも刺激的でしたね。
母親は社交的で常に美しいドレスを身につけ、父親は数多くのサヴィル・ローで仕立てた、スーツを完璧に着こなしていたそうです。彼女の美意識は、幼い頃から培われたのでしょう。
キャサリンの美学は、単なる「英国的」という言葉では表現しきれない、深いルーツを持っていました。彼女は、英国が歴史の中で様々な国の影響を受けてきたことを大切にしていました。インドやアフリカの影響も色濃く、その美学の根源は、高品質を大切にする歴史にあると言えるかもしれません。
サステナブルファッションへの先見性
ライオネル氏: サステナブルであること、それは「服が長持ちすること」だと彼女はよく言っていました。長く着用できる服を選ぶことこそ、誰もができるサステナブルなアクションだと考えていたのです。
80年代のイギリスは、大量生産・大量消費の時代でした。そんな時代背景でも、彼女は使い捨てのファッションを良しとしませんでした。
例えば、Tricker‘s、JOHN SMEDLEY、MACKINTOSHといった、今では誰もが知る有名ブランドも、当時はまだ知る人ぞ知るメーカーでした。キャサリンは、そういった高品質で長く使えるものづくりをするメーカーと、当時から積極的に協業していたんです。
素材選びにも、彼女ならではのこだわりがありました。
例えば、「コットンドリル」という生地は、もともとイギリス軍のために開発されたもので、非常に丈夫です。彼女は、この生地をベーシックアイテムに積極的に採用していました。軍服は長持ちするように作られている、ということを熟知していたんですね。
また、「ハブタイ」という生地は、パラシュートに使われていた素材です。高品質で軽く、空から舞い降りるような独特の風合いが魅力で、シャツ素材などに採用していました。彼女は本当に革新的でした。今振り返っても、そう思います。
彼女は常に品質と機能性を重視し、長く愛用できる服作りを追求していました。
ソーシャルグッド活動の先駆け
ライオネル氏: 彼女を代表する活動といえば、やはりスローガンTシャツでしょう。
「LOVE」というスローガンがプリントされたTシャツの売上を、難民支援を行う慈善団体に寄付していました。
その後、オーガニックコットンのキャンペーンを始めたことも大きな話題となりました。当時、インドでは綿花栽培の農薬によって命を落とす農民がいるという事実を知り、大きな衝撃を受けたキャサリンは、1991年に「Green Cotton by the year 2000」というオーガニックコットン活用を呼びかけるキャンペーンをスタートさせました。
彼女は他のファッションデザイナーにも声をかけ、この基金への寄付を呼びかけたり、農家が有毒な農薬を使わないように支援することを訴え、大きな注目を集めました。
彼女は様々な活動に挑戦し、より良い社会への問題提起を行ってきました。これからも、彼女の意思を受け継ぎ、共に活動を続けていきたいと思っています。
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みなさま、いかがでしたでしょうか。
インタビューを振り返ると、キャサリン・ハムネットの精神を受け継いでいくことの重要さを改めて実感することができました。これからも、微力ながらソーシャルグッドな活動を継続し、皆様に発信していきます。
引き続きKATHARINE HAMNETT をよろしくお願いいたします。